大学や独学でデータ分析の勉強をしただけだと実務で使えない理由

2018年10月31日

スポーツに例えれば試合と練習ほどに違う

大学のゼミやセミナーで、あるいは興味があって独学でデータ分析を勉強したので実務で使おうとしてもなかなかうまくいかない。それで自信を無くしてしまう人もいればひどい場合はうまくいかないのは回りの知識不足だからと正当化しだす人もいるのだが、データ分析の理論とツールの勉強が無駄になるには別の理由がある。

それは、大学や独学での勉強がスポーツに例えれば「一人でやる基礎練習」であったり「仲間との紅白戦」であり、試合ではない、ということだ。

スポーツや勝負事の経験者には伝わりやすいと思う。野球であればフリーバッティング、サッカーならカラーコーンでのドリブル練習、バスケットボールならフリースロー、テニスならサーブ練習などを思い浮かべてもらえばいい。そういった練習と紅白戦のときだけはうまい人が試合に出て同じように力を発揮できるだろうか、と同じ問題だからだ。

練習と実務との違い

練習と実務が違う理由としては以下のようなことがあげられる。

対戦相手がいる

練習と実務の一番の違いは、対戦相手がいるということだ。相手にも勝ちたいという意思があり、妨害もすればやフェイントもかけてくる。練習であれば自分のタイミングで邪魔されることなくできるとしても、実務では消費者、外部のクライアントを相手にする。その中にはデータ分析に理解がない、人の言うことを聞かない、まったく興味がない人、コンプレックスの裏返しでやたらに攻撃的な人、自分の利益のためなら嘘やデタラメを平気で言う人など様々な人を相手に説明やプレゼンをしていかなければならない。自分が納得できれば良い独学とはこの点が大きく違う。

監督・スタッフ・チームメイトがいる

仕事は大体において団体戦だし、たとえ局所的には個人戦であってもそこにはコーチやスタッフがいるわけで決して一人で仕事をしているということはあるまい。練習であれば自分のペースで自分のやり方でできることがチームではできなくなる。監督(社長や上司)、スタッフ(他部所の人)、チームメイト(同僚)と様々な人と同じ目標に向かうのであるから時には命令に従ったり妥協が必要になることもある。ただし自社のために都合のよい分析結果を出すといったことは意味しないので注意。

コンディション

スポーツであれば天気・気温・風・湿度・ピッチコンディションなど自分ではどうにもできないことがある。会社でいえばまずはデータがない、あってもあまりに汚かったりあちこちに別の形式で保存されたりという問題がある。それだけはなくデータ分析による意思決定を行う文化だったり、データを処理・保存するためのインフラといったソフトとハードの両面において自分ではコントロールするのはできないとは言わないが相当に難しいことがあり、その条件の下で仕事を行わなければならない。

特にデータ分析の文化は長い時間をかけて培われてきた結果であり、そんな簡単には変えられない。同好の士に囲まれてのんびりした雰囲気でやるのとはわけが違う。

疲労

練習であればいつでも止めることができるが、実務では残業やトラブル対応での長時間労働の後かもしれないし、休日遊んだ疲れがまだ残っていることもある。たとえ元気な日でも朝と夜では頭の回りも全然違う、といった中でパフォーマンスを出さなければならない。

負けることへのプレッシャー

トーナメントで負ければそこで大会は終了だし、リーグ戦であっても試合に負ければ良いことなどない。プレゼンで失敗すればその案件は永遠に失われるし、失敗が続けば評価は下がって給料やボーナスが減るかもしれない。最悪会社が潰れて失業し、家族ともども路頭に迷うことにもなりかねない。大きなプレッシャーが掛かればできることもできなくなり、力を発揮できない。

時間のプレッシャー

同じスコアであっても試合開始直後と残り時間がわずかである場合ではそこにかかるプレッシャーは違うのに、負けているならなおさらだ。焦りがミスを生みさらに自分やチームを追い詰める。実務においては納期がある。その仕事は片付いても他に片づけなければならない他の仕事もある。夜には予定が入っているから残業はできない、なんて時はいつもなら見逃さないミスをしたり、安易な妥協をして仕事の質を落とすことも多い。

練習しかできないときは勉強するしかないがそれはあくまで練習である

以上のように、練習だけしても状況が違いすぎて実務でいきなり使えるわけではない。実務で使えるようになるためには実務を経験していかなければならない。

しかし試合に出られない時には練習して時期を待つしかない。今の職場ではデータ分析の仕事が求められていない、あってもExcelだけで十分だったり、必要なツールが使えないなど実務でやりながら身に着けることができないのであれば転職や異動を視野に入れつつ自分で勉強をするしかないが、実務ができるようになるための準備であってすぐに実務ができるわけではない。勉強したからすぐに使えると勘違いして売り込んだりすると、あとで実務とのギャップに苦しむことになる(売り込まないと実務をする機会も得られないという問題はあるがそれは別の話)。

データ分析の勉強は実務と組み合わさって意味をなし、データ分析は意思決定と実行に寄与して初めて価値がでる。つまりは勉強というのはデータ分析を構成する一部分であり、それだけでは機能しないのだ。