バズワードの栄枯盛衰モデルを考えてみる
バズワードの栄枯盛衰をモデル化する
データサイエンティストもそうだが、現れては消えていくバズワードの栄枯盛衰には一定のパターンがあるのではないか、ということでモデル化を試みる。バズワードの栄枯盛衰の流れを追うと、次のようなステップになると考えられる。
- 輸入
- 露出
- 拡散
- 実績
- 追随
- 試行
- 迷走
- 忘却
以下、各ステップについて考察する。
輸入
日本初のバズワードというのはあまり聞いた記憶が無い。大体の場合は、コンサルティング会社が海の向こう(というかアメリカ)から探してくることが多いようだ。正確に言うと、中小企業や個人が使ってもほとんど広まらないので、スタートはコンサルティング会社がメディアを使って宣伝した場合が主になるのだろう。外国から来た言葉だから流行るのか、外国の方がデータ分析が進んでいるから新しい言葉が生まれやすいのかは不明。
露出
最初は散発的だが、突然メディアに露出が増える。内容は
- 今までは○○だったがこれからは□□でなければならない
- 「なんだかよくわからないけれども導入すれば問題が解決する」魔法の杖のごとき印象
- 具体的な内容は不明
なのがお決まりのパターン。本当に素晴らしい価値があるから流行らせたいのか、中身はともかく流行らせることで焼畑農業的に利益を上げたいだけなのか、単にメディア側が新しい情報に飛びついているだけなのかの区別は難しい。
拡散
徐々にあちこちのメディアにも広まってくるのだが、
- 出所が同じなので内容も同じ
- 登場人物も似たり寄ったりで、最初に目立った人がそのまま出続けること多し
- 相変わらず実態が不明
これにSNSでの口コミが加わって、「実態は不明だが有名」なバズワードの完成である。
実績
しばらくすると、導入した例が紹介され始める。これも形が決まっていて
- 大企業で採用されました
- 導入したらこんなメリットがありました
なのだが、基本的には広告なのでそのままそっくり真に受けるのは危険。大企業の中の1部署が導入したに過ぎない場合でも全社で使われているような印象だったり、元々うまく行っているところに導入しただけかもしれず成功にどの程度寄与しているかは謎だったりと、大分疑いながら読まないと煽られる。
結局のところ道具をうまく使えるかどうかは使う側の力量次第なので、本当に自社に必要なのか改めて考えること。当然ながら、成功の裏側にある「導入したけれどうまく使えない」たくさんの例は出てこない。
追随
この頃になると中小企業の提案書やサービスにも、その言葉が増えてくる。書いておけば中身はともかく言葉だけは知名度があるので、営業すれば「ではやってみようか」ということで受注はできることがある。
試行
売っている側でも誰もよくわかっていないので、受注してから裏側では大わらわである。結局出来上がるのは、数少なく薄い入門書と実質は広告のWebにある情報を頼りに、根拠なき作文で書かれたレポートで、まったく役に立たないということもしばしば起きる。
迷走
明確な定義が存在しないので、それぞれが思い思いに少しづつアレンジを加えたり拡大解釈したりで、その意味するところが変わり、ますます実態が分からなくなっていく。
忘却
定義も中身もよくわからないので定着せず、そのうち新しいバズワードの発生もあり、しばらくは細々と話題に上りつつ、フェイドアウトしていく。
最初から最後までで大体2-3年ぐらい?
消える言葉はピークが来るまで1年から2年程度で、最初から最後までだと大体3-4年で現れて消えるというのが実感である。もちろん消えると言っても必ずしもゼロになるわけではないので正確に言うと消えるということではないが、流行っていたころに比べて露出がわずかになればまぁ消えたと表現しても良いだろう。
中身が無ければ流行ったところですぐ消える
中身が無いただのバズワードが短い時間で消えるのは当たり前の話なので、サービスを買う側が流行に踊らされて無駄な金を使うのは避けた方が良いのと同時に、サービスを提供する側も無暗にサービスに組み入れても質を落とすだけなのでおすすめはできない。ただし予算があり流行を生み出せる立場であれば、スタートダッシュで売り逃げできるので話は別かもしれないが。
本当に価値の新しい技術と単なるバズワードの違いは?
結局のところは役にたてば残り、そうでなければ消える。価値のあるサービスが提供されるかどうか、ただそれだけではないだろうか。名前だけが先行するのか、サービスに名前が付いてくるのかの違いだろう。言葉ではなく、中身を見る。長く残るかどうかはサービスも人間も同じなのかもしれない。