書評・感想『インテリジェンスの基礎理論 第2版』

2018年9月1日

書評・感想・・・日本語で読めるインテリジェンスの教科書。ただし教科書ゆえに少々退屈なので、最初に読むにはあまり向いていないのでは。

もともとさほど多くないインテリジェンス本だが、その中でも少ないのが学術的な理論としてインテリジェンスを記述している本。そんな中でこの本は日本人が書いているという点でさらに希少。とはいえ中身はローエンタール『インテリジェンス 機密から政策へ』からの引用が多く、同書の入門編のような位置づけか。『インテリジェンス 機密から政策へ』に挫折したらこちらを試してみたらどうだろう。なお、現在第二版であり、青が初版(2011年)でエメラルドグリーンが第二版(2014年)。

理論というだけあって教科書のような記述で全体的に退屈ではあるので、インテリジェンスを本格的に学ぼうといきなり手を出すと飽きてしまうかもしれない。そういう人には『戦略的インテリジェンス』の方がよいだろう。こちらはもっとくだけた(?)書き方で読みやすいし話の中心となるインテリジェンスサイクルについての記述もある。

このように全体がまとめられたのを見ると、一言で情報といっても分析だけではなくプロセスであること、カウンターインテリジェンスや工作活動が伴うこと、それらを動かすための組織や法律と非常に幅広い範囲に及ぶことが判る。ビジネスにおけるデータ分析も同様なのだが、こちらはまだまだ「分析」という専門家のためだけの分野になってしまっているのが現状で、その要因の1つとしては本書のようにインテリジェンスの研究がほとんとされておらずしたがってその全体像を考える以前に存在していることに触れる機会が少ないからではないかと思う。