データサイエンティストブームを総括する

データサイエンティストは終わったのではなく始まってすらいない

※2015年7月に書いた文章

データサイエンティストという言葉が聞かれるようになってそろそろ3年になるが、いまだに定義は確立されず、何をする人なのかもよくわからないまま、すでにブームはピークを過ぎ、このまま遠からず消え去っていくだろうという状態になっている。いったいなぜこのようなことになったのか、自分なりに総括してみる。

データサイエンティストとは何だったのか

データサイエンティストとは、高度な統計学や機械学習を使ってその少し前から話の出ていたビックデータを使う人という文脈で登場してきたと理解している。それがいつのまにか既存のデータアナリストとの境目があいまいになり、やがて混同されていく。このあたりになると実態もよくわからず、もはや名乗ったもの勝ちになってしまい、単なるハッタリになっているケースも散見される。データサイエンティストと名乗ってはいるが、実は統計学を多少かじっただけで数理的知識はほとんど持ち合わせていないなどいう場合すらある。それでもまったく知識の無い人には違いがわからず、結局は知識ではなく営業力勝負となっている。

なぜ定着しなかったのか

データ分析の存在理由は何のためかと言えば、意思決定のためである。そして、日本ではデータ分析をもとに意思決定をするという文化がとても弱い。したがってそもそもデータ分析に需要がない。需要がないのだから、高度な統計学や機械学習に至ってはなおさらで、それらを使うデータサイエンティストには出番が無かったという当然の帰結であった。

データ分析の重要性を理解している企業はブームの前から着手している

データ分析はブームがあるから始めるとか、ブームが終わったから止めるという性質の行為ではない。企業が競争する中で意思決定を行うのであれば必ずそこに存在するはずのものである。したがって、ごく少数ではあろうが、データ分析の価値を理解している企業においてはブームに関わらず行われている。

ブームで儲けたのは誰か

主にツールを導入するシステムベンダーと、そのベンダーのパートナーであるコンサルティング会社がブームで稼ぐ一方で、ブームが来てから人材を雇ったりツールを導入して、大きく業績に貢献したという企業がはたしてどれだけあるのか疑問である。成功例として上がるのは、1・元々データ分析を行っており、必要なツールを導入した結果うまく機能しているのであって、ツールの導入自体が何か大きな改善を起こしているわけではない、2・大企業の中でごく一部で使われているだけだが、企業全体で使われているように見せている、のいずれかがほとんどであろう。

今後の展望:データサイエンティストという名前は消えてもデータ分析の重要性はなくならない

もう1・2年もすればデータサイエンティストという言葉は聞かれなくなるだろうが、だからと言ってデータ分析の重要性が増すことはあっても減ることはないことはデータ分析に関わっている人なら誰しも感じていることだろうと思う。総じて若い人の方がデータ分析に関する感度が高いと思われ、今後経営者の世代が変わっていけば、よりデータ分析への需要は増えるだろう。ただし要求されるのは基本的な集計とコミュニケーションが主であり、今回のデータサイエンティストブームで話が出た高度な統計学や機械学習が要求されるレベルになるまでにはまだまだ時間がかかると予想される。

そんな中で一部の企業だけが高度なデータ分析に力を入れ、そのほとんどが専門性に特化した小さい企業となる中で、ほんのわずかながらもデータ分析を力に変えることに成功した企業が業績を伸ばしていくという構図になるのではないだろうか。

答えが出るまでにはもうしばらくかかるだろうが、データサイエンティスト、データアナリスト、情報分析官などなど名前はどうあれ、そして環境がどうあれ、真の分析者となるには常に勉強と実践を忘れないことが大切であるのは言うまでもない。

3年経ったので検証してみた

これを書いたのは2015年7月で、もうすぐ3年になることから内容を検証してみた。