「データ分析をする人」は「アナリスト」と「エンジニア」に分かれ、その違いは「他の誰かが意思決定するための情報(つまりインテリジェンス)」を作るかどうかにある

2018年10月25日

「データ分析をする人」という言葉のあいまいさ

データサイエンティスト・データアナリストはマーケターでもエンジニアでもない存在であり、それを他者に理解させる能力がなければならない。その一環として、そもそも「データ分析をする人」と世の中で漠然と言われているが定義があいまい故に誰かに伝える際に混乱が生じてしまっていると感じるので、改めてその言葉について考えてみる。

「データ分析をする人」は「アナリスト」と「エンジニア」に分かれる

「データ分析をする人」と呼ばれる人は、「データを使った仕事を専門的に、あるいは中心にしている人」であり、さらに分ければ「アナリスト」と「エンジニア」のどちらかに属すると考えられる。プログラミングをするかや、使う手法が数学的に高度かどうかは問題ではない。また、コミュニケーション能力のある無しも関係ない。それらは手段であり、アナリストでも必要ならばプログラミングするし、何が求められているか要求を的確に掴むことはエンジニアにも必要だ。では、何が違うのか。

「アナリスト」と「エンジニア」の違いは「他の誰かが意思決定するための情報(つまりインテリジェンス)」を作るかどうか

「アナリスト」と「エンジニア」を大きく分ける境目は何かと言えば、他の誰かが意思決定するための情報(インテリジェンス)を作るのであれば「アナリスト」であり、そうでなければ「エンジニア」である。ポイントは2つ。1つは意思決定に寄与することで、単にデータを集計して結果を返したりニュースを集めるだけではなくそこに自分の洞察が入らなければならないこと。もう1つは「他の誰か」のためであって自分のためではないこと。

世の中の「アナリスト」は「エンジニア」であることが多い

この観点から見ると、世の中で「データ分析をする人」と呼ばれる場合その多くは実際には「エンジニア」を指しているということになる。つまり、意思決定のための情報を作るという仕事に従事している人は少ないということだ。

どういうことかというと、「データ分析をする人」の中でも「○○アナリスト」「○○リサーチャー」と名乗っていても実態はそうでない場合だ。例えば

  • 「Webアナリスト」・・・ただしGoogleAnalyticsの数字をレポートにしているだけ
  • 「ビジネスアナリスト」・・・ただしExcelでクロス集計しているだけ
  • 「マーケティングリサーチャー」・・・ただしアンケート集計しているだけ
  • 「データアナリスト」・・・ただしSQLで抽出して結果を返しているだけ

といったところだ。これらは洞察を含まず、分析を行おうとしている誰かにデータを渡しているだけであり、実態としては「データエンジニア」とでも呼ぶべき存在だ。そして、世の中の「アナリスト」にはこの「実質データエンジニア」が非常に多い。むしろそうでない方が多いのではないか、というのが個人的な感覚である。

「データサイエンティスト」はほぼ「機械学習エンジニア」らしい

何かと話題の「データサイエンティスト」であるが、ほぼ「機械学習エンジニア」のようだ。上述のように(本人の自覚の有無はともかく)「アナリスト」を兼ねている場合はあれども、基本的には「エンジニア」としての活動が主体となっているようで、「データサイエンティスト」の肩書で「アナリスト」として明確に活動している人はどれだけいるのだろうか。

つまり「データ分析をする人」とは大体「エンジニア」

「データ分析をする人」は「アナリスト」と「エンジニア」に分かれ、「アナリスト」が実質的に「エンジニア」であるのならば、要するに「データ分析をする人」とは大体「エンジニア」ということになる。データ分析に携わらない経営者や営業などから見たらもっとざっくりと「データを使って何かしている人」ぐらいに見えているかもしれない。「アナリスト」の需要の少なさから考えても妥当だと思うがどうだろう。

「エンジニア」だが「アナリスト」の場合もある

例えばレコメンデーションエンジンは「どうしたらサイトの直帰率を下げられるか」「別のコンテンツを見てもらうにはどうしたらいいか」という要求に対して「このようなロジックを入れれば改善する」という情報の提供が「アナリスト」の担当部分であり、意思決定後にそれを実行に移す実装の部分が「エンジニア」となる。

つまり「エンジニア」であるが「アナリスト」を兼ねている場合もあり、完全に分離できるわけでなければする必要もない。企業や案件の規模が小さければ担当者やチームとして両方を行うことは自然である。

「アナリスト」だから「エンジニア」でなくてもよいということはない

繰り返しになるが、「アナリスト」だからプログラミングができなくてもいいということはない。デジタル化が進んで「アナリスト」と「エンジニア」はより不可分になっていく中で、機械学習のことは知りません、プログラミングは全くできませんではできることの幅はさらに狭まっていくだけだ。とはいえすべてのことができるわけでもないので、そのあたりの取捨選択は必要になる。

言葉の定義って大事

何をしているかと聞かれたときに「アナリスト」ではなく「データ分析をする人」とわかりやすく説明しているつもりであったが、それが逆に混乱を招いていたのではないか、と反省している。どうもかみ合わないのは「データ分析をする人」と言われて想定されるのが「エンジニア」だったからであり、考えてみればそもそも「アナリスト」が求められていないのだから当然かもしれない。

今後自分の事を説明する際は「アナリスト」でありそれは「他の誰かが意思決定するための情報(つまりインテリジェンス)を作る人」であると答えよう。もっともそれだけでは生きていくのは難しく、本来の「アナリスト」としての活動だけというわけでもないのだが…。