書評・感想『成功する要求仕様 失敗する要求仕様』

要求マネジメントをシステム開発だけに留めておくはもったいない。データ分析はもちろん様々な仕事に応用できる身に着けておきたいスキル。

まずはこの文章を読んでもらいたい。これでピンとくるものがあれば、読んで損はない。

要求マネジメントとは、要求を収集し、その中から「適切な」要求を見極め、それを文書化する、という一連の活動のことである。要求マネジメントには、3つの重要な活動がある。

*要求の導き出し:顧客やユーザー、当該業務分野でのエキスパートなど、ステークホルダーから要求の候補を集める活動
*要求のトリアージ:利用可能な開発ソース、市場投入期間、収益目標、投資対効果などに照らして分析を行い、どの要求を満たすべきかを決定する活動
*要求の仕様化:求められているシステムの外的なふるまいを文書化する活動

成功する要求仕様 失敗する要求仕様 P5

もっとざっくりいうと、「客の話を聞き、優先順位を付けて、文書として残す」である。聞けば誰でもわかるが、うまくできる人はなかなかいない。ろくに話も聞かずに勝手に独りよがりな分析やツールを作って「わからない奴が悪い」「面倒でもなんとかしろ」「わかりづらくても慣れろ」などという作り手の身勝手な考え方は許されるべきではないし、たとえ立場が強くてその時は通用したとしても必ず淘汰される。そうならないようにきちんとコミュニケーションをとる、それが「要求のマネジメント」であるということだろう。

この本はシステム開発における要求の話として書かれているが、実はこれ、データ分析プロセスでいう「要求」にそのままそっくり使える。いや、データ分析に関わらず誰かの要求の下に何か(それは物であれ情報であれ)を作る全ての場合において同様であろう。なのでシステム開発のための本に留めておくのはあまりにもったいない。

データサイエンティスト・データアナリストであれば、分析やツール作成のために「何をどう進めるか」を考える際に有用である。要求についてはデータハンドリング同様に、重要であるが目立たず評価されない部分である。しかし、いわば基礎であるこの部分をもっとしっかりさせれば質も生産性もかなり上げられるのではないか、と考えている。今後とも追っていかなければならないテーマだ。

出版社サイトの紹介文もわかりやすかったので載せておこう。

多すぎる要求は納期を遅らせ、少なすぎる要求定義では、求めるシステムにほど遠い。うまく要求を調整しても、ユーザーのニーズに合っていなければ意味がない。――本書は、プロジェクトの予算、納期、ユーザーニーズに対して、「ちょうど十分な(just enough)」要求を見極めるための手法を紹介します。時間と人月のトレードオフのなかで、要求をどう優先順位をつけ、実現させていくのか。本書では、緊急時の治療の順番を決める「トリアージ」という医療用語を使い、ユーザーや関係者から要求に対し重み付けをはかる一方で、過去のプロジェクトでのリリース実現率を照らし合わせながら、実現する要求とリリースのタイミングの決め方を提示します。『ソフトウェア開発201の鉄則』の著者として知られるアラン・デービスが、10年ぶりに書き下ろした待望の新刊です。

《出版社サイトより》https://shop.nikkeibp.co.jp/front/commodity/0000/P82910/

データ分析と一言にいうが、別の様々な分野から学ぶことは本当に多い。もっとアンテナを広げなければとは思っているものの、あまりに膨大で1人では対処できないので、どこかに絞り込んで他は誰かと一緒にやるということはそろそろ検討するべきか。。。