要求A・意思決定者が分析者に「知りたいことは何か」を伝える

2018年9月28日

要求は実務における最重要フェーズ

データ分析プロセスの概要はこちら。

「何を知りたいのか」がわからなければデータ分析は始まらない。そして、分析者にとっては目的の決定に続く要求のフェーズが最重要であり、ここでの失敗はそのままプロセスの失敗である。要求フェーズは細かく分けると、

  • A・意思決定者が分析者に「知りたいことは何か」を伝える
  • B・分析者は「そのためには何を知るべきか」を考える
  • C・分析者は意思決定者に「いつまでに何ができるか」を伝える

の3つに分けられる。重要なのは専門知識や技術よりも意志決定者と分析者のコミュニケーションであり、一方的な指示や命令、あるいは丸投げでは成り立たない。そして、その企業におけるデータ分析能力とは、意思決定者と分析者が要求と伝達においてどれだけ正直にコミュニケーションができるかによってその大半が決まるといっても過言ではないだろう。

要求A・意思決定者が分析者に「知りたいことは何か」を伝える

意志決定者から分析者への要求

まず最初に意志決定者から分析者へ、「知りたいことは何か」を伝える。この際「売上を上げる方法」のようにあまりに要求があいまいすぎると分析者が動けないか、あるいは勝手な想像で話を進めざるを得ない。

また、分析者が意志決定者の考えや希望を全て理解しているので「わかっているから何も言わなくても大丈夫」というのは大体勘違いであり、そのままにしておくと良くて無駄、悪ければ意思決定を大きく誤らせて大惨事となる。

分析者側は意思決定者の意図を推測してはいけない

一方分析者側も意思決定者側の意図を推測したり、ましてや気に入られるために付託することも許されない。

お互いの認識が揃っているかは、最初だけ行えば十分というわけではなく、この後分析や伝達にプロセスが進んでからでも繰り返し行うべきだ。これは途中でいつのまにか認識がずれてしまうこともそうだが、分析作業中に優先順位や外部環境の影響で要求が変わることもありえるからだ。

要求時に何を伝えるべきか

要求時に伝える可能性がある内容としては

  • 納期
  • 予算
  • 人的リソース
  • 目的
  • 政治的事情

が挙げられるだろう。このうち納期は絶対に必要。予算と人的リソースは強い制約があるなら最初の時点で、そうでなければこのあと分析者が「そのためには何を知るべきか」を考える際に調整しながら決めていくことになる。

目的や政治的事情については一律で伝えるべきかどうかを決めることは難しい。特定商品の動向であれば問題にならないかもしれないが、経営の根幹に関わるような問いであったら分析者にどこまで伝えるべきかは問題だ。

何も伝えなければよい分析は難しいが、それが外注であった場合はさらに情報の流出というリスクにもさらされることになるため、最終的にどこまで内容について分析者側に伝えるかは議論が必要である。

より具体的に、ただし詳細には踏み込まない

例えば、商品Aについて今後のマーケティングプランを考えるにあたり、分析者側のスキルが高く信頼できるのであれば「売上が変化している原因は何か」という問いが、そうでなければ「商品Aの売上が最近落ちているが、消費者のニーズが変わったのか、別の商品に入れ替わっているのか、競合店にとられているのか」ともう少し具体的に踏み込んで要求を出すもいいだろう。

どうするべきか、は要求に含めないのが本来の形

分析者は目的の決定に関わってはいけないので、「売上を上げるためにはどうしたらいいか?」という質問では分析者が提案まで行ってしまうことになるので要求には含めてはいけない。

すでに知っていることはできれば伝える

外注では特に起こりやすいが、知っていることは何かをきちんと伝えずに、データと曖昧な注文だけだして、「あたりまえ」の結果が出てきたからデータ分析が使えないと言うのはデータ分析ではなくコミュニケーションの失敗だ。知っていることは何かは機密にふれたり、何を知っているかを確認してくるかを試すなど別の理由がある場合をのぞけば、できる限り知っていることは伝えた方がよい。

教科書と現実のギャップをどう埋めるか

と、教科書的に書いてはみたがこれ以上はいけない、というきちんとした線を引くことはできない。特に意思決定者側のデータ分析リテラシーが低いと「言われたことしかできない」などというレッテルを貼られてしまったら終りなので「〇〇するためにはどうしたららいいのか」という要求にも答えなければならない場合が出てくる。

とはいえいつもこのような要求に答えていると分析者としての活動に支障をきたすことにもなり悩ましい問題であるが、簡単に解決できる望みはないのが悩ましい。