意思決定と分析を兼ねるメリット・デメリットと、気を付けたいこと

意思決定と分析は分離するべき。だが現実はそうなっていない

経営企画・マーケターなどは意思決定の前に分析を行うが、自分が意思決定するための分析を自分で行っている人が大半だろう。それを当たり前と考えている人の方が多いかもしれないけれど、この状況は必ずしも正しくない。

意思決定者が自分で情報を集めて分析することの危険性にピンと来なければ、日本軍の大本営が情報部を無視して独善的な作戦を行った結果どうなったかを思い出してみるといい。それと同じことである。

とはいえ、人材、リテラシーなど様々な要因でどうしても意思決定と分析を兼ねることになる場合は多いので「あるべき姿ではないから考えなくても良い」とはならない。

そこで、意思決定と分析を兼ねるメリットとデメリットを考え、どう対処したら良いかを考えよう。

意思決定と分析を兼ねるメリット

意思決定者が分析を行う場合のメリットは分析した本人が意思決定をするので、分析が無視されるといったことが起きなくなる。

データアナリストが必ず経験するように、どれだけうまく分析したとしても意思決定者に無視されてしまえばそれで終わりである。意思決定者と分析者が同じであれば、このようなことは起きず、分析と意思決定が直結する。

グロースハッカーや機械学習エンジニアはさらに実行も兼ねることで独自で非常に速く動けることは大きなメリットだ。

意思決定と分析を兼ねるデメリット

では、意思決定者が分析を行った場合どのようなデメリットがあるだろうか。まず真っ先に考えられるのは、中立性の欠如である。

典型なのは意思決定者が自分の企画を通したいという場合で、その考え方に合う情報だけを探してしまうというのはよくあること。結論ありきで自分に都合の良い情報を集めてくるので偏ったり間違えたりが発生する。

第三者による評価が行われなければ、間違えた情報を元にした企画が走り、被害を蒙るのは現場である。

次に、独善的になり暴走が止められなくなる。人の話を聞かず勝手に決めることが当たり前で、批判や監視がされなければ権力が腐敗するのは当然のことである。

この2点だけでも、少なくとも企業であれば経営戦略のような大きな問題については分析の独立が必要なことはもっと知られてもよいはずだ。

それでも意思決定と分析を兼ねるなら気を付けたいこと

以上から、意思決定と分析を兼ねる場合には

  • 意思決定と分析を兼ねる危険性を全員で認識する
  • 検証が可能であるよう、記録をきちんと残す
  • 必要なら修正を強要できる権限を第三者に持たせる
  • 失敗した時のインパクトが小さい

あたりは必要だと考える。

もちろん、データ分析を組織として独立させるのが一番であるが、データ分析組織に必要なのはデータサイエンティストではなくデータ分析プロセスをマネジメントする人であり、いなければ少なくとも「意思決定と分析を兼ねる危険性」だけは共通認識として持っておけばかなり違う結果になるだろう。

「コンサルもやれ」とか「口だけでなく実際にやって見せろ」とか、アナリストに限らず本来は分析を中心とする人が意思決定に関わるのは営業にプログラミングをやれと言うぐらい無茶な気がするが、言う人のリテラシーが低いと説明しても無駄になる。さしあたりはやるか逃げるかしかない。

あと、中立性なんて無視して独善的に振舞う方が有能に見えて金も儲かるのが世の中なので、そういう選択もあることだけは言っておく。