分析と収集を同じ人が行う場合のメリットとデメリットと、現実的にどうするか

今まであまり議論された形跡がないので、やってみる

情報・データ収集というと、大抵の場合は分析担当者自身がが行うことを想定しているだろうが、それは必ずしも正しい選択ではない。いままであまり議論されてきた形跡がないが、意思決定と分析を兼ねるメリット・デメリットと、気を付けたいこともさして話題にならないぐらいなのでそれは仕方ない。そこで、分析と収集を同じ人が行うメリットとデメリット、理想と現実への対応の順番で考えてみたい。

想定としては、収集というのは外部のメディアからだったり、インフラはあってそこから必要なデータを集めてくる、という状況。データエンジニアも入れると話がややこしくなったので今回は考慮しない。

分析と収集を同じ人が行う場合のメリットとデメリット

メリット

分析と収集を同じ人が行う場合は、コミュニケーションによるロスが少なくなるために効率が良い。分析のためにどのような収集が必要であるかを理解しているということもあるが、それ以上に収集は一度行ったら終わりではなく、分析の途中で情報・データの不足がわかって追加での収集が起きたり、収集の途中で実は収集が不可能、あるいは間に合わないので方針を転換するこということが当たり前に起こるが、この時に対応しやすい。

デメリット

もし分析者が経営者やクライアントの気に入るような分析を提出しようとしたり、結果を誤魔化そうとした場合には分析に都合の良い情報・データだけを集めて来るということが起きる。これは個人で当てはめてみるとわかりやすいが、自分の気に入る記事を出してくれる新聞やメディアだけを使うようになってしまうのと同じである。これは分析にとっては致命的な失敗に繋がる。

それから単純に考えて時間の問題がある。収集は誰かから情報・データをもらってくれば済むわけではない。その情報の真偽を見分けて選別したり、データがきちんとしていない環境ではコードを書いたりすることに手がかかりすぎると分析に手が回らない危険度も高い。

また、コミュニケーションが発生するため、不得意だったり人間関係が悪いと分析に必要な情報が期限までに集まらないということが起きるし、方針展開が起きた際に特に外注だとスケジュールのコントロールが難しい。

理想的な分析担当者と収集担当者の関係

担当を分ける場合の理想としては、収集担当者は「分析担当者と同じレベルで分析ができ、かつ分析者が経営者やクライアントにおもねったり、自社に都合の良いような解釈をした場合にそれを指摘できる能力と、その能力以上に指摘することができる信頼関係がある人が行う」だろうか。

しかし、能力は何とかできても最後の「指摘することができる信頼関係がある」が難しい。キャンペーンの結果についてたとえそれが事実であっても都合の悪いデータを渡すと人格を否定されたごとく怒りだす人は少なくない。

それ以前に担当を分けているのに収集担当者が分析担当者のやることに口を出してもいいのかという別の議論も出てくる。

現実的な対応

そう考えると、分析と収集をうまい具合に分担する、というのは難しいのかもしれない。となれば分析と収集を兼ねるか、収集は部下や外注に一部を任せるということになる。

誰かに任せる場合は、収集に限らず誰かに丸投げするのは論外であるので考えないとして、以下の2点を注意したい。1つは、どのような情報に価値があるかを判断するためには知識と経験が必要だし、そのビジネスや企業に対するいわゆる土地勘がない人にはどうあたりをいいかすら検討がつかない。新入社員にとりあえず任せる話でもない。なので分析経験者を当てたほうが良いと思う。

もう1つは、力関係があるとどうしても分析者の意向に沿うような収集を行うことになるため、そうならないよう細心の注意、というか心づかいをしたい。ただし、言われる側は「そんな事言ってるけど実際に自分の気に食わない情報を上げたら怒るでしょ」と思っているので、本当の信頼関係の構築がされるまでは分析者側で気を付けることにしておいた方が無難であろう。

話の背景と将来について

なんでこんなことを考えることになったかといえば、コンサルや営業のためにデータの収集だけ行うことがよくあったのだが、分担というよりは使い走りとか下っ端のような扱いをする人がたまにいて、分担は難しいなと感じていたから。

あと、いくらその企業の中でパフォーマンスを上げて評価されたとしても、外部どころか社内でも他部署や現場に関わらない上の人からするとへたすればただのオペレーター扱いになってしまうこともあって収集担当者になるのが損になってしまいかねないという危機感もある。

とはいえ、これから先分析チームが拡大していけばいずれ役割分担の話になるかもしれないし、技術的に高度であれば収集の専門部隊(イメージとしてはアメリカのNSAとかイギリスのGCHQ)もできるかもしれないけれど、広く議論が必要になるのは当分先だろう。