書評・感想『カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則』

2018年12月6日

「カスタマーサクセス」は「顧客の成功」ではない

冒頭の2章まで読んだけど、やっぱり「カスタマーサクセス」は「グロースハッカー」以上に既存のマーケティングとの違いがわからない。あえて言うなら「マーケティング」の中の「顧客維持」への特化らしい。

途中で気が付いたが、日本語の題名が悪い。原題は「CUSTOMER SUCCESS How Innovative Companies Are Reducing Churn and Growing Recurring Revenue」。「離脱を減らすことと、定期的収入をどう増やしていくか」とちゃんと書いてあった。

つまり「カスタマーサクセス」を直訳すると「顧客の成功」となるが、少なくともこの本の主題はそこではない。もちろん、顧客の求めるものを提供するというのは大前提であるが、それは提供する企業側にとって収益の鍵になるからであって「顧客の成功」が目的だとは読めない。

この書籍がいう「カスタマーサクセス」とは「顧客維持戦略」

それを「カスタマーサクセス」=「顧客の成功」とかにするものだから混乱してしまうが、この書籍がいう「カスタマーサクセス」とは「顧客維持戦略」だ。

その認識をもって改めて目次を眺めてみれば、なるほど具体的な課題と打ち手が書いてそうにも見える。ただしざっと読むとわかるが、各章の著者は上級職ばかりで詳細な方法が書いてあるわけでもない。

もちろん現場の目から見ても概要が書いてあるのでとっかかりには使えるかもしれないが、しかしこの書籍だけでは具体的な分析をするには足りない。

例えば第8章に「絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する」とある。では具体的に離脱予測1つしようとしても実際には大仕事になることは想像できるが、指標は紹介されていてもどうやったらカスタマーヘルスが把握できるかは書いていない。

つまりこの書籍のサブタイトルを付けなおすとしたら『経営者のための「顧客維持戦略」のすすめ』がふさわしいのではないか。

需要な話ではあるが、ここに書いてあることがすぐ実現できるわけもない。それこそ「AIを導入したら収益があがる」と同レベルの話である。注意されたい。