データ分析で困った依頼の原因とその対策

困った依頼になる原因とその対策を考える

アナリストの役目として営業やコンサルタントの依頼で必要なデータを出したり、分析を行ったりすることがある。この依頼が曲者で、依頼を出している側が必ずしも問題を正しく認識し、そのためにどのような情報が必要かを理解し、その上で実現可能な依頼を行っているとは限らない。

というか、そんな完璧な依頼というのはまずありえない。なので「こんなデータが欲しい」と依頼されて注文通りのアウトプットを出したところで、後になってあれを追加これも追加、やっぱりこっちのデータも見たいからと追加依頼、揚句に納期に間に合わないから今日中にと言われて残業する羽目になり、出来たのはただの棒グラフと作文で、やっぱりあのデータ使いませんでした、などという事態になる。

とはいえ依頼が正しくないから突っぱねるなどいうのは不可能である以上、どう対応するかは考える価値がある。これは自衛のためでもあるが、それと同時に依頼者のリテラシーの向上を図り、今後の業務の質を上げることにもつながる。

困った依頼になる原因と対策

「なんとなくこんなデータが欲しい」が目的があいまい

一番多いパターン。「このデータは何のためなのか」「それはなぜか」など2・3度突っ込むと言葉に詰まることが多い。このような場合、どのようなデータを出しても無駄になるか、良くても迷走して追加や修正が発生する。目的無きデータ分析は無駄であることを説明して理解してもらい、改めて目的を決めるところからやり直してもらうのが一番良い。その際一緒に考えるところから参加できれば、後で発生する無駄がかなり抑えられる。

ところが相手が上司やプライドが高い人だと「目的があいまいなので、このままデータを出しても意味が無い」と言われることすら気に食わない人がおり、対策が取りづらいことがあるのだが、その場合はやむを得ないので大人しく最低限の仕事で対応することになるだろう。あまりに負荷が高ければしかるべき手段で苦情なりを言うこと。経営者層がそのような態度であればどのみち先行きは暗いので逃げる準備をしておこう。

問題設定が間違えている

目的は一応あるのだが、その目的そのものが間違えている、というような場合がある。例えばあるキャンペーンの反応が思わしくない時、サイト内での離脱が多いことが問題であるのに、集客が問題であると考えて広告効果の分析が欲しい、というような依頼になっている場合だ。

依頼そのものに間違いがあるわけではないので気が付かずにそのまま作業を進めると、大分後になって実は違うことがわかったのでまたやり直しになってそこまでの仕事が無駄になる。対策としてはできる限り最初に依頼の背景について詳しく聞く。依頼に対して「どういったデータが必要か」だけでなく「その問題提起は正しいのか」にまで踏み込むことができれば、問題となる前につぶすこともできる。

目先しか見えていない

施策の提案にあたり、「東京都在住の20代男性について知りたい」と調査依頼を受けたとしよう。いくつかの分析結果を渡してからしばらくすると「やっぱり隣の県のも・・・」「比較したいので10代や30代についても・・・」と同じ内容で範囲を広げた依頼が追加で入ってくるなんてことがある。この原因は依頼側の見込み違いである。

対策は、アウトプットを提供する時点で可能な限り探索範囲を広げてしまう。追加の情報収集や前処理が必要ない、サイズが大きくなり過ぎないなど余計なコストがかからないことが条件ではあるが、後になって追加で作業するコスト(時間とストレス)に比べれば、たとえ追加分が使われたなかったとしてもダメージは小さいし、追加があった際にすぐ対応できると相手の仕事も捗り評価も上がる。

時間やコストの制限を無視している

データやDBへのリテラシーの低さがもたらす弊害。頭で考えるのと実際にやってみるのでは大違いであるのはあらゆることに起きるが、それのデータ分析版。依頼側は軽い気持ちで「これならできるよな?」と言ってくるが必ずしも悪気があるわけではないのでまずは話をしてみよう。できなくはないが、データを集めたり前処理するのに非常に手間がかかることをきちんと説明した上で、現実的に対応可能な妥協点を探る。無茶な依頼に対しては、時間やコストの問題で希望の納期までに対応できないのであれば、その時点できちんと伝えること。後になって「無茶な依頼をする方が悪い」と言ったところでそれはただの言い訳に過ぎない。

目的と依頼内容に齟齬がある

数百万件のIDにある属性やフラグを付与して欲しいと依頼がある。あとでExcelで作業するからxlsxでほしいと言われたのでリストを分割して処理するなど方法を相談していたところ、実はそのリストのIDは全てが必要ではなく、特定の条件を満たしている数万人だけが必要なのだが「とにかく全部もらえれば後で自分でなんとかできると思っていたから全部依頼した」とのこと。それならば話は全く別で、その数万人分のデータを作って渡せばあっという間に完了。

これもデータにあまり慣れていない人が引き起こす問題で、当人はそれが大きな無駄を作っている自覚がない。したがってこれも初動の段階で目的と依頼内容に大きなずれが無いかを確認することが大事。

本来の目的と外れている

本来の依頼者からではなく間に誰か(特にリテラシーの低い人)が入ると、本来の依頼者が意図していたことと内容が変わってしまったり、逆にこちらからから必要なデータの注文をしてもその話がきちんと届かず混乱する、といったことが起きる。対策は「依頼者と直接話をすること」が最善。代理店などが間にいてできない場合は、次善の策としては問い合わせの文面をこちらで作成して、それをそのまま送ってもらうという方法もある。とにかくわかっていない人が間に入るとマイナスはあってもプラスにはならない。それを前提にいかに本当の依頼者とコミュニケーションを取るかを考えよう。「そのデータ全部本当に必要なのか」だけでなく「そのデータのうちどこをどう使うのか」まで踏み込むと不要なデータが大量に送られてくることも防げる。

先に相談してもらえる関係があればベスト

大体において、これらの問題が発生する原因は「コミュニケーション不足」である。もちろん大方の原因は依頼者の知識やリテラシーが少ないことにあるのはたしかなので「あっちが悪い」と言ってしまえばそれまでだが、それでは仕事にならない。「理解できないのは向こうが悪いは」最悪の態度だし、言わなくても態度に出るので相手はすぐに気づく。そうなればコミュニケーション不足が起きてさらに仕事の質が下がる悪循環に簡単にはまる。

データ分析担当者はいくら難しい理論を使った集計が出来たところで信用が無ければその存在理由は無いに等しい。望ましい関係は、事前に「こんな情報が欲しいのだけど・・・」と相談が来て、ディスカッションできる関係である。このフェーズがあるかないかで、仕事の質も捗り方も大きく変わる。慣れあう必要はないが、必要な場合には良いコミュニケーションが取れるようにしておくのもデータ分析担当者の仕事の1つであろう。

生産性

Posted by 管理人