続・「データ整備人(仮)」という「関わっている人が多くて、誰かがやらないといけないということは共通認識だけれども名前すらない役割」に関する雑多な話 → データアーキテクトと呼ぶことにしてまとめ直した
追記:データアーキテクトと命名して改めて整理した
この役割については「データ整備人(仮)」ではなく「データアーキテクト」としてエンジニアとアナリストの間で兵站を担う「データアーキテクト」は1つの役割として確立しておいた方が良いと思うので整理してみたにまとめた。
反響すごくてびっくり
「データ整備人(仮)」という、「データベースからSQLを書いて抽出する」という仕事についての考察というか「なにこれ?」という話は以前から考えていたのをまとめてみた、ぐらいで軽く書いたのだけど案外関わっている(&恨みつらみが溜まっている)人が結構多いらしく非常にたくさんの反響があった。
というわけで、前回に引き続き、この「関わっている人がたくさんいるらしいけれども名前すらない役割」についてつらつらと書いてみる。
なお「データ整備人(仮)」は語感がよかったこともあるのか結構「自分はデータ整備人(仮)だったのか」という人もいたけどあくまで仮の名前なので今回はこの後あえて使わない。
アンケートとってみたらすごい割れた
昨日書いた「データベースからSQLを書いて抽出する」という仕事を行っている人は
、主にどんな職種を名乗っていますか。— しんゆう@データ分析とインテリジェンス (@data_analyst_) July 26, 2019
データアナリストとデータエンジニアに分かれるかなとは思ってたけど「その他」がこんなに多いとは予想外。
BIエンジニアもたまに聞くので選択肢に入れておいたらこちらもそれなりに回答があり、意外と浸透している名前だったりするのか?と言うことが見えたのは収穫。
名前が大量
そしてこの時「その他の人はどんな名称かをコメントして欲しい」と聞いていたり、あるいはこれとは別に「この役割にどんな名前を付けるか」を訪ねてみたところ、たくさんの返信があった。
- アナリスト
- データアドミニストレーター
- クエラー
- 雑用
- 便利な人
- Data Planner
- Data Architect
- BI Engineer
- データアレンジャー
- 分析基盤エンジニア
- データエンジニア
- データコーディネーター
- データスチュワード
- データオペレーター
- システムエンジニア
- 情報システム
- データ出すマン
- ダッシュボード職人
- 集計エンジニア
- ITエンジニア
とまぁいろいろな回答をもらった。全部は広いきれてなさそう。もしコメントしたのに漏れていたらごめんなさい。
求人情報が混乱しているのも理解できる
これを見てまず思ったのは、「直接関わっている当人達の間でもこの状況なのだから、外から見たらさっぱりわからないというのはしょうがないのかも」だ。
なお世の中で「データアナリスト」と募集があったら大体この役割のことだったりするために数々の悲劇が現在進行形で生まれている。
前回こんなことを書いていて、実際にそうなのだが、この状況を見るに関わっていない人事にきちんと書いてもらおうなどというのが無理だろう。関わっていても会社どころか人によって言葉の定義や職務が変わる現状ではなおさらだ。
ネガティブな意見多し。そしてその理由
この役割に対する反応は多くは、というかほぼネガティブ。その理由を考えてみると、一番の原因はこの役割をやるつもりが無かった人にやらせてしまうことではないだろうか。
- データアナリストとして分析をしたいのに分析が無い
- データエンジニアとして技術を磨こうとしているのにコミュニケーションが多く要求される
といったところか。少なくとも最初からこういった役割である、とわかっていての参加であればここまで邪険にされるようなことでもないと思うのだが。
この役割は雑用なのか
もう1つネガティブな意見を拾ってみると、この役割をはっきりと雑用だという人もいる。
- 営業やマーケターが思いつきで出した依頼にそのまま対処する
- 毎週毎月パラメータを変えて実行し、結果をExcelにまとめる
- 月ごとの売上のようなごく単純な集計を集計単位を変えて大量にやる
これだけなら確かに雑用かもしれない。しかしこの役割はその雑用をこなすことだけではなく、いかにうまくやるか、その雑用をいかに無くしていくかも含まれる。
そのアプローチもいくつかある。生成の段階でコントロールする、マートを作る、ダッシュボードを作る、コードを書いて渡す、やり方を教える、他の方法を考えて提案するなどだ。
これらをうまくやるにはエンジニアが何をしているかの知識、データを扱う高度でなくてもそれなりの技術、誰が何をするために使おうとしているかを掴むためのドメイン知識やビジネス力にもちろんコミュニケーションと幅広い経験が無いとできないのでは。
だとしたら、この役割のすべてを雑用とすることが適切ではない気がする。
それでも付加価値の低い雑用をいかにうまくやっても雑用だと考える人もいるかもしれないし、その境目を明確に引くことはできないので結局はその人の受け取り方次第だけど。
その割に「誰かがやらないといけない」ということは共通認識
不思議なことに、いかにネガティブな意見を持っていようが雑用だと考えて居ようが、「それでも誰かがやらないといけない役割だ」というところはわりと共通している。
営業やマーケターとエンジニアには共通言語もあまりないのでコミュニケーションがうまく取れないというのは仕方がないのだが、ここに間に誰かいることで非常に円滑に進められることが多くなる、というのを実感しているからだろう。
ここを担う人がいないと直接やり取りをすることになるけど、残念ながらやることも考え方も違いすぎて大体仲が悪くなる。というか部署単位で関係が良い企業を見たことが無い。
なので「誰かがやらないといけないよね」という話にはなるのだけど「そのわりに評価されないよね」までが1セット。
1つの役割として確立する余地はあるか
「誰かがやらないといけない」役割なら十分にありえるのでは。少なくともその周辺のことが本職な人達の中でやれそうな人がやる、というのがあちこちで常態化しているというのは不自然だろう。
とはいえこの仕事だけを100%というのは企業の規模が小さいとマンネリ化するので、他の仕事と組み合わせるか、新しいサービスが次々と立ち上がって初期段階での設計から強く関与できる機会が大きいかとかの幅は必要そう。
ただし企業側がきちんと評価できること
これはアナリティクスディレクターと同じで、いくら実務者にとって価値があっても会社や上司がまったく評価しないのであればそれを誰かに担わせるのはただのババ抜きにしかならない。
アナリティクスディレクターとくらべてこちらはダッシュボードやマートが形になるので評価はされやすいかもしれないが、その一方で時間さえかければ新卒でもできるように見えるので誰でも出来る仕事と思われるかもしれない。
それでも認識されないよりはマシ、と考えるのがよいのかどうかもまた微妙。
あと、この役割をきちんと特定の個人ではなく企業として確立し評価できる企業は強いのではという気もするのだがどうだろう。
やっぱり新しい名前が必要だ
ということで書き連ねてみたけれど、前回と合わせて名前もないのにこれだけ書ける役割というのもあまりない気がする。
こう考えてみると、やはり「このあたりの役割」と漠然とではわかりにくいのは問題であり、「データアナリスト」や「データエンジニア」とは違うということをはっきりさせるためにも別の名前が必要だと考えている。
次回、新しい名称(まだ決めてない)とその役割について整理し、他の役割との違いや関わり方、その役割のキャリアの展望などまとめてみるつもりだ。
追記:この役割については「データ整備人(仮)」ではなく「データアーキテクト」としてエンジニアとアナリストの間で兵站を担う「データアーキテクト」は1つの役割として確立しておいた方が良いと思うので整理してみたにまとめた。