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新型コロナウイルス騒動で見る「インフォメーションとインテリジェンスの違い」

「今日の感染者〇人」だけでは何の判断もできない

新型コロナウイルスの話題で持ちきりだが、インフォメーションとインテリジェンスの違いを見る上で良い題材になりそうだと思ったので書いてみる。

インフォメーションとインテリジェンスの違い

まず最初にインテリジェンスとインフォメーションの違いについて改めて書くと、

  • インフォメーションとは「加工されない生の状態」
  • インテリジェンスとは「意思決定のために加工、分析されたインフォメーション」

ということだ。「ある意思決定に使えるかどうか」で大きな違いがある、ということが伝われば十分。なお日本語の「情報」は両方の意味を持っており、後述するようにどちらにも区別が出来ない場合に使うぐらいにしておく。

また、インフォメーションとデータを区別する人もいるがその区別は今回の話ではあまり意味がないので立ち入らない。

「今日の感染者〇人」はインフォメーション

さて、日々のニュースでは「今日の感染者が〇人」ということがよく聞かれるが、これは事実であり基礎知識ではあるが基本的にインフォメーションである。なぜならこれ単体で誰かが何かを決められることはまずないからだ。

「〇人超えたら(あるいは切ったら)何かをする」だとしたら意思決定はすでに終わっておりあとは事実を確かめるだけなのでこれはインテリジェンスとは呼べない。時系列に並べてグラフにしたら何かに使えるかもしれないが、数日分のデータを集めてグラフにしている時点ですでに処理が入っており生のデータではない。

インフォメーションは分析の材料

今日の感染者数だけでは何もできなくとも、これを毎日蓄えて時系列で並べると推移が判る。しかしこれもわかるだけでは意思決定には使えない。必要なのは「次にどうなるか」という予測だ。

料理で例えれば食材そのまま。それは生のまま食べられるものもあればそうでないものもあるのと同じで、「今日の感染者〇人」は大根みたいなものか。食べられないことは無いかもしれないが通常では食べないし、皮も向かずにかじるのを料理と言う人はいないだろう。

ではもし「全国の感染者数の推移の予測」が完璧に予測できたとして、それは全ての人にとってのインテリジェンスかというとそれも違う。

利用者によってインフォメーションにもインテリジェンスにもなりえる

ある事実や分析結果が誰にとってもインフォメーションあるいはインテリジェンスになりえるかと言えばそうではなく、立場や目的によって変わる。

先ほどの「全国の感染者数の推移の予測」は「国民に対してどのようなメッセージを発するか」を決めたい政治家には役に立つ。

しかし、「リモートワークをいつまでにするか」を決めたい企業経営者にとっては社員の居住地と会社の所在地、「今日の仕入れはどれぐらいにするか」を決めたい飲食店店長とっては店舗の周辺地域での状況が把握できなければ意思決定にはあまり役に立たない。

他にも、普段通り出社する人にとっては推移が完璧にわかってもどうしようもなく「全国の感染者数の推移の予測」よりも「感染リスクを減らすためにA駅からB駅まで最も感染リスクが低い時間とルートはどこか」を知ることがが重要だ。

そして「感染リスクを減らすためにA駅からB駅まで最も感染リスクが低い時間とルートはどこか」という情報がいくら正確でも会社を挟んで反対側に住んでいる人にとってまったくインフォメーションでしかない。

これは大鍋でたくさんの人に提供するのと、各人の注文を聞きながら作るのでは目的も方法も違うということに当たる。

ちなみに「今日の感染者が〇人」を”基本的には”インフォメーションと書いたのはもしかしたらインテリジェンスとして使える場合もあるかもしれないからだが、思いつかなかった。

インフォメーションとインテリジェンスの区別がついていないととにかく情報を集めたがる

インフォメーションとインテリジェンスの区別がついておらず目的がないままだととにかく量が多ければ良い意思決定ができると勘違いしてしまう。

もちろん量は力ではあるが、時間も金も限られた中で収集し分析しなければならない現実の中では何かを優先しなければならないのだがそれができない。

ニュースを見て不安になったりするのはまさにそれで、自分がどんな意思決定をしようとしているか意識しておかないとただ情報を受け取るだけになる。

これも食材をとにかく集めておけば何かできるだろう、と考えるのに似ている。近所のスーパーに行けばそれなりに食材はあるだろうが、もしスパイスからこだわったカレーを作りたいなら行くべきは専門店だ。

「リモートワークをいつまでにするか」を考えている経営者がインテリジェンスの要求を出すとしたら

では「リモートワークをいつまでにするか」を決める立場の経営者がその判断のためにどのようなインテリジェンスを集めたらよいだろうか。

  • 感染リスクの予想。いつ頃どれぐらいのリスクか
  • 完全に収束する前にリモートワークを終了し、感染者が社内に出た際のリスク。社内への蔓延だけでなく社会的な制裁を受けた場合の損失
  • リモートワークを続けた場合への業績への影響
  • リモートワークを止めた場合に社員への士気や経営への評価

といったことがあるだろう。これらは一例であり、1つ1つについてがまた大きな問いである。

「知りたいこと」と「知ることができること」と「実際に手に入れられる情報」にはそれぞれ大きな隔たりがありが「意思決定のために何を知りたいか」から始めるのは全てのデータ分析において重要だ。

なお「リモートワークをいつまでにするかを考えろ」という問いはまったく意味がない。「利益を上げる方法を教えろ」と同じでそれはただの丸投げに過ぎない。

インテリジェンスとは「特定の人の特定の意思決定のために作られる情報」

改めてインフォメーションとインテリジェンスの違いを言うと、インテリジェンスとは「意思決定者のためにインフォメーションを加工、分析してえられたもの」であり、さらに言えば「特定の人の特定の意思決定のために作られる情報」ということだ。

そしてインフォメーションはそれ以外の全部で、データ分析とはその「インテリジェンス」を作り出すために目的の決定から始まる一連のプロセスである。

先日のインタビュー記事では天気予報を例に出しているが言っていることに違いはない。そして世の中で言う「分析」の多くは「データをどうにかしている」という意味での「処理」であり、目的が忘れられていることも多くそれは今回のコロナウイルスの件でもニュースをただ集めるだけになっているらしい人を多く見かける。

基礎知識が重要であることに異論はない。しかし、その知識は意思決定に使われて初めて価値を生む。知ることが趣味ならばともかく、何らかの役に立てたいのであれば意思決定を意識するのがよいだろう。

ビジネスに例えてみると

今回は時事ネタということもありコロナウイルスの件で例えてみたが、ビジネスで例えると

  • 目的が明確でないとどんなに高度で正確な分析をしても意思決定の役に立たないことが当たり前に起きる
  • ダッシュボードに何十もの指標を並べたがたるのはインフォメーションとインテリジェンスの区別がついていないことが原因
  • 「売上を上げる方法」ではなくもっと具体的な要求をすべき
  • 「いつまでにするべきだ」などという提案に踏み込むのであればその決定に責任を持たねばならないし分析することが役割の中心ではなくなる

とかあるのだけど長くなったのでそれはまた別のところで書こう。