「不特定多数に対する汎用的な情報を作る人」=「ゴールドラッシュの時にジーパンを作る人」の方が圧倒的に多い理由

2018年10月25日

世の中には「不特定多数に対する汎用的な情報を作る人」の方が圧倒的に多い

「アナリスト」には「特定の誰かの特定の意思決定に対する情報を作る人」と「不特定多数に対する汎用的な情報を作る人」がいるが、実際のところは前者はほとんどおらず圧倒的に後者が多い。マーケティングリサーチャー、経済評論家、業界アナリストに天気予報士などなど「分析する人」といえばほぼこちらであるが、それには理由があるはず。

「不特定多数に対する汎用的な情報を作る人」のほうが多くなるモチベーション

「特定の誰かの特定の意思決定に対する情報(インテリジェンス)」の需要が少ない

そもそもの話として、「特定の誰かの特定の意思決定に対する情報(インテリジェンス)」の需要が少ない、ということがあある。経営者や企画者が自分で「不特定多数に対する汎用的な情報」を集めて分析して意思決定まで行うということが常態化しているからと思われる。なぜそうなるかについての考察は今回の主旨ではないので別の機会にするが、需要が少ないということが正しければ当然人も少なくなる。

「特定の誰かの特定の意思決定に対する情報」と「不特定多数に対する汎用的な情報」の違いをわかっていない人が多い

その割に「情報」という言葉がたくさん使われているがそれがどこに使われているかというと「不特定多数に対する汎用的な情報」のことで、そこには「特定の誰かの特定の意思決定に対する情報(インテリジェンス)」の意味合いは含まれていない。この2つは明確に違うことがあまり理解されていないニュースやデータをとにかく集めることだけに注力することになって「不特定多数に対する汎用的な情報を作る人」の仕事はあるが、それをどのように使うのかという議論にならないために「特定の誰かの特定の意思決定に対する情報を作る人」の仕事にはならないのではないか。

このように問題があるうえに、さらに「不特定多数に対する汎用的な情報を作る人」でいるほうが良い(難易度が低かったり稼げるという意味で)というモチベーションもいろいろある。

言いっぱなしで検証不要。かつ発言への責任を取らなくてよい

「特定の誰かの特定の意思決定に対する情報(インテリジェンス)」担当者は間違えれば良くて叱責、最悪の場合は失職になってしまう。一方で、「不特定多数に対する汎用的な情報」はインテリジェンスの素材であるためその情報が間違えていたとしても責任を取る必要がなく言いっぱなしで済むのがほとんどだ。間違いを指摘されても言い訳はいくらでもあるため非常に楽であり、だとすればあえてインテリジェンスを作る側に回るモチベーションは生まれにくい。

インテリジェンスを求めるならばやはり要求する側にリテラシーがなければならないが、上述のようにこの点が非常に弱いために社会全体での解決は相当に難しいだろう。

制約が少ない

「特定の誰かの特定の意思決定」が対象ということは、そこにあるいろいろな背景(意思決定者の性格、納期、分析のための制約、コストなど)を含んだ上での分析が必要になる。この点「不特定多数に対する汎用的な情報」というのはこの制約が緩いもしくは無い。作るものが違うので当然とはいえ、この差は大きい。

多数を相手にできるので稼ぎやすい

「特定の誰かの特定の意思決定」がその特定の人のみが相手になるのに対して「不特定多数に対する汎用的な情報」は極端に言えば全ての人が相手となる。オーダーメイドではもしサイズが少しでも違っていたりその人が気に入らなければ作り直しになるが、汎用的であれば合う人に売ればよい。情報も同じで、ごく少数に高価な商品を提供するよりも多くの人にそれなりの商品を提供する方が良い。ましてや情報に金を払わない人が多いのでは成立しようがない。

様々なしがらみから逃れられる

「不特定多数に対する汎用的な情報」には利点もある。都合の悪い話を聞く気が無く気に食わないことを言えば怒り出す社長やクライアント相手に対して本当のことを言えなくなる、あるいは情報を捻じ曲げてしまうということが起こる。この点「不特定多数に対する汎用的な情報」は特定の誰かに言うわけでもないので利害関係から逃れ中立性を保ちやすいという利点がある。

多数に有意義な情報を提供できる

よりマクロでかつ多数に届ける必要があるような情報(例えば災害情報などが当たるだろう)は公的機関が各企業や個人に合わせられるわけもなく、またその必要もない。「不特定多数に対する汎用的な情報」でもより多くの人に届ける方が有用な場合もある。

「不特定多数に対する汎用的な情報」とはデータ分析におけるジーパン

「ゴールドラッシュで稼いだのはジーパンを売った人だった」という話の真偽はさておき、システムやツールをうまく使える人は少ないのでベンダーのほうが儲かるというのは以前から変わらないが、「不特定多数に対する汎用的な情報」も同様でビジネスにおけるジーパンに比べることができよう。

ジーパンを作る人もジーパンを使う人も必要で住み分けの話なのだが、ジーパンを作る人ばかりいて金脈を掘らないので誰も大儲けできず、データ分析が発展しないという状況だろう。少数ながら当てている人がいるかもしれないが、そういう人たちはこっそりと行っているのかもしれない。そしてインテリジェンスの有用性は情報という見えない物である以上アピールすることが難しいのでどうすればいいのかは重大な課題であるが、どうしたらいいのかはまだ模索中だ。