「データ分析をする人」がどんな人なのかのまとめ

2019年5月28日

「データ分析をする人」を整理する

データサイエンティスト・データアナリスト・リサーチャー・BIエンジニア・Webアナリスト・UXリサーチャーなどなど、「データ分析」に関する役割にはいろいろな名前がついているが、定義があいまいで実態がよくわからなかったり、名前と業務がかみ合っていないことがしばしばある。

そこで以前より「データ分析をする人」について個別に書いてきたが一通りまとまったので、まとめることにした。

「データ分析をする人」の全体像

まず、「データ分析をする人」の全体像については下の図のように分けられる。

他人の意思決定のためか、自分の意思決定のためか

まず最初に、データ分析を誰のために行うのかが大きな違いとなる。もし自分の意思決定のために自分でデータ分析を行う、あるいは主導するのであれば全て「非分析者」とするべきだ。ここには経営者・マネージャー・マーケター・営業など「データ分析はするけれどもそれを専門にしているわけではない人」すべてが入る。つまり世の中の大多数はここだ。

また、専門知識を使う「データサイエンティスト」「機械学習エンジニア」などについても自分が意思決定や企画に参加する分析を行うような場合はやはり「非分析者」となる。なぜならば、どのような手法を使っていようが意思決定に参加すれば実質的にはマーケターであるからだ。

もちろん同じ人が要請によって「他人の意思決定のため」のデータ分析を行うこともあり、その場合は「分析者」として「アナリスト」ないしは「エンジニア」(違いは後述)にもなりえる。これらがごちゃまぜになっていることが、「データサイエンティストとは何をするか」という話を混乱させている大きな要因と考えられる。

非分析者については主題ではないので、以降はすべて「他人の意思決定のためのデータ分析」を行う人について考えることにする。

ただし、グロースハッカーやカスタマーサクセスについては非分析者ではありながら分析が中心の活動でかつデータアナリストとの関りが大きい職種(実態はともかく)なので例外的に追加した。

「アナリスト」と「エンジニア」の違い

詳細は「データ分析をする人」は「アナリスト」と「エンジニア」に分かれ、その違いは「他の誰かが意思決定するための情報(つまりインテリジェンス)」を作るかどうかにあるにすでに書いたので割愛するが、つまりは「データを使う人」か「データを作る人」かで分かれる。

「データサイエンティスト」「データアナリスト」のように自分で作って自分で使う場合もあるし、「データを作る人」に特化する場合もあるが、「データを使う人」に特化するケースはまれなようだ。いずれ組織化が進めばこういう人も増えるだろう。

「特定の誰かの特定の意思決定に対する情報を作る人」か「不特定多数に対する汎用的な情報を作る人」

さらに「アナリスト」には「特定の誰かの特定の意思決定に対する情報を作る人」と「不特定多数に対する汎用的な情報を作る人」がいる。同じ「アナリスト」であるが「不特定多数に対する汎用的な情報を作る人」は内容が違う。

したがって「アナリスト」と「広義のアナリスト」とを分けている。なお、「広義のアナリスト」より「リサーチャー」でもよかったかなと思っているがすでにこの名前で話をしているのでひとまずはこれで通す。

これも業界情報やニュースサイトを見ればわかるように「不特定多数に対する汎用的な情報を作る人」になる場合が大半であり、「特定の誰かの特定の意思決定に対する情報(インテリジェンス)を作る人」としてのみで食べている人は皆無に近いだろう。これはデータ分析やインテリジェンスの需要の低さが原因でありそう簡単に解決する問題ではなさそうだ。

アナリティクスディレクター

この表には出ていないが「アナリスト」「広義のアナリスト」がいれば全て完結するわけではない。実際の業務におけるデータ分析プロセスを考えると各フェーズそれぞれがたくさんの内容を含んでいるが、かといって全てを別の職種に分けるにはまだ早すぎるので「分析」と「分析以外」に分けるのが良いのではないかと考えた。その際「分析以外」ではおまけみたいだから名前を付けようということでつけたのが「アナリティクスディレクター」だ。

したがってこの名称は一般的ではない。しかし「データ分析」に関わっていれば少なからずこちらの領域に踏み込んでいる場合も多く、いわば相互補完の関係であり、「アナリティクスディレクター」とは「データ分析プロセスのマネジメントを行い、様々な部署や人とのつなぎ役となる役割」であると言えるだろう。

ただし役割といいつつもアナリティクスディレクターのみを業務にしている人は知る限り皆無であり、この先も職種として確立するというよりはアナリティクスディレクターに軸足を置くデータ分析者が多少は増えてくると思われる。

データサイエンティストは「何をしているか」によって分類されるがほぼ機械学習エンジニア

名前はよく聞くけれどもここに出てこない「データサイエンティスト」についてはデータサイエンティストとは「高度な理論を使うデジタルに特化したデータアナリスト」ぽいけど実態は「機械学習エンジニア」に個別に書いたが、明確な定義はないので既存のデータアナリストとの境目は曖昧だし、実態としてはデータサイエンティストはほぼ機械学習エンジニアである。

機械学習エンジニアは「アナリスト」の面を持つことがある

ではその機械学習エンジニアであるが、課題に対して機械学習による解決方法を考え、さらにそれを実装する。例えばレコメンドエンジンは「より効果の高いリンクを作って回遊を促すにはどうするか」に対する回答の1つであるが、機械学習という道具を使っているだけで「アナリスト」とも考えられる。

もちろんプロダクトを自分で作って機械学習で改善している人や、企画に関わったりしているのであれば非分析者に分類される。観測している範囲では「企画にも関与しながら何をどうするべきかも自分で考え、その解決の方法として機械学習を優先的に使っている実質マーケター」がかなり多そうだ。

コンペのように課題がありそれを解決するためにモデルを作ったりその精度を上げることだけに特化して仕事をしている人はあまりいないように見える。

また、特にデジタルの世界においては課題解決の方法として機械学習がより広まっていくだろうから、機械学習エンジニアとアナリストは不可分とは言わずともかなり近づくことになりそうだ。

そのうち「新しいモデルを開発するごく少数の専門家」「機械学習を道具に使うアナリスト」「機械学習を行うためのデータを集めたり前処理をする人」などと別れてくるのだろうがこれもまだ少し先だろう。

グロースハッカーやカスタマーサクセスは「分析を中心とした非分析者(マーケター)」

数年前から流行とは言わないが時たま聞こえるグロースハッカーや昨年ぐらいから急激に聞こえてくるようになったカスタマーサクセスについては次の記事を参照のこと。

データサイエンティストとデータアナリストとグロースハッカーとカスタマーサクセスの違い

そうすると「データサイエンティストとデータアナリストとグロースハッカーとカスタマーサクセスは何が違うのか?」という話の流れになるのは当然で、これも別に記事を書いた。

グロースハッカーとカスタマーサクセスの違いは「攻め」か「守り」かぐらいだと考えられるが実際にはこれをわける意味もないのでさしあたりは同じようなものとして捉えてもよさそうだ。規模が大きくなったらどこを中心にするかの役割で名前が付くぐらいだろうか。

その他:マーケティングリサーチャー・BIエンジニア・Webアナリスト・UXリサーチャーなど

その他のデータ分析関連業務、マーケティングリサーチャー・BIエンジニア・Webアナリスト・UXリサーチャーなどはどうだろうか。例えば企画に関わったりしているのであれば全てマーケターだが、

  • 道具を使ってその数値を共有する(KPIの進捗報告とか)だけなら「データエンジニア」
  • そこに洞察を加えて情報を作る(見解や今後の予想)のであれば「広義のアナリスト」
  • さらにそれが誰かの特定の問題に対しての分析であれば「アナリスト」

といったように、エンジニアやアナリストという言葉よりも何をしているかに注目した方がよい。名前だけに捕らわれると「〇〇エンジニア」と募集しているから技術者が入ったら求められているのは「アナリスト」だったり、逆に「〇〇アナリスト」が欲しいと言われたのに実態は「データエンジニア」や「マーケター」だったということが起きる。

結局明確な切り分けなどできず、どこにどれぐらい力を入れるか

色々書いてきたが、結局のところは要求に答えるための道具が違うぐらいであとは4区分のうちどの仕事をするかで、それもどれか1つということはあまりなく「アナリスト20%と広義のアナリスト80%」のようにどこかに軸足を置きつつ他のこともやる人が多いのではないだろうか。

また、データアナリストだからDBに入っているデータしか扱わないので競合調査はやりませんとか、Webアナリストなので解析ツールの数字は見るけれどもリアル店舗があっても興味ありませんとかにはあまり意味がない。もちろん限度はあるにしても、分析者に求められているのは特定の道具を使う人ではなく、課題に対する問いにいかに答えるかなのだ。