データ分析とインテリジェンス

[データ整備/抽出] 依頼の目的に踏み込むことの是非について

抽出の責任を役割と責任を明確に意識したらどうなるか

打ち合わせの進め方と取るべき合意依頼されても断るべきことに続き、抽出依頼における打ち合わせシリーズの最後は「抽出担当者が依頼者の目的の是非に踏み込むこと」について書く。

役割やその責任の意識があいまいだと、すぐに他の人の責任範囲にあることまで口を出したり時には頼まれもしない提案を一方的に突きつけてしまう。今回は、抽出や整備の役割と責任を明確に意識してどう対応するかを考える。

「背景や目的」を聞いてもあまり役に立たない

データ抽出において依頼の目的やその背景まで深く聞いても実はあまり役立つことはない。どのような目的をおくかは依頼者(意思決定者)の責任であり、ただ聞いたところで単なる雑学で終わってしまう。時間を費やすならば目的を達成するためにどのようなデータがあればいいのかを検討した方が遥かに有意義だ。

「前年のキャンペーンのデータが欲しい」と依頼があったとしよう。それが「新規流入を増やすキャンペーンを行うため」という目的を聞いたとしてもすでに行ったキャンペーンの結果に影響はない。なので抽出する内容もかわらない。

むしろ余計な話を聞いてしまうと依頼者や企画の責任者にとっては都合の悪い、しかし正確な数値を出すことに躊躇したり、自分が正しいと思うような数値を抽出してしまいたくなるだけだ。

「他を差し置いてもこの依頼を優先して欲しい」と言われたので理由を聞いたらそれはこういう背景だから、と話の流れで聞くはあってもそれは参考情報にしかならないのであえて聞かなくても良いと考えている。

目的が間違えていると思っても安易に踏み込まない

もし何らかの話の流れで目的を知った際に「その目的はおかしいのではないか」「もっと別の良い方法があるのではないか」と思った時にどうするべきか。

気づいたら指摘すれば良いとは思わない。筆者は以下の理由から原則として自分からは踏み込まない。

  • 目的を決めることは抽出とはまったく別の役割である
  • 思いつきの提案は役に立たない
  • 組織としての仕組みにできない
  • 全部は追いきれない
  • スキルが違うし時間も取れない

目的を決めることは抽出とはまったく別の役割である

ありとあらゆる問題に首を突っ込めるわけもなく、1人で全部できないから組織を作っている。なので相手が誰であれ、他の人が責任を持っている範囲に安易に口出しはしない方がいいと考えている。もし積極的に口を出したいのであれば。結果に責任を持つポジションに移った方がいい。

意思決定者の目的決定に異を唱えるブレインや相談役、あるいは諌議大夫としての役目はしかるべき権限を持った人が行うべきだ。そして、それは抽出とはまったく別の役割である。

思いつきの提案は役に立たない

聞かれもしないのに目的に異を唱えて別の方針を提案することは越権行為であろう。それにろくに事情を知りもしないで思いつきで提案したところで現実を無視していればなんの役にも立たない。

組織としての仕組みにできない

相手の立場や個人的な人間関係によってできるかどうかが大きく変わってしまうのでは役割として成立しない。最初から誰に対しても同じように「自分からは提案はしない、求められれば協力する」にした方がいい。

個人的なつながりでやり取りを禁止するわけではない(というかできない)のでそこはご自由に。

全部は追いきれない

抽出は社内外の様々な部署の様々な役割の人からの依頼がある。それら全てについて毎回目的や背景を聞いてそれが正しいのかなどと詳しく追いかけることはできない。

なのでできる時はやるけれども忙しかったらやらない、と選択肢を作るのはありだろう。ただし他の条件が全てクリアできることが条件になる。

スキルが違うし時間も取れない

整備を中心に行っているなら戦略の構築やマーケティングの実行にまで手を出すことは難しい。そもそもスキルも全く違うので、たとえ意義を唱えても対案を出すことや施策を実行している時間的な余裕はない。

状況次第

小さな企業で経営者のごく近くで活動しており詳しい事情を知っているとか、自分の方がとても詳しい領域なので適切な指摘ができるとかあれば「抽出」の役割を超えて口出しすることもできるだろう。

ただしその場合でも相手の責任の範囲は尊重すべきだ。もし自分が変わりに行うのであれば必ず責任も引き受ける覚悟が必要だ。

役割と責任を明確にすると受けはよくない

今回の話は特に「現在のところ自分はこうしている」を前面に出している。というのも本当にこれが一番いいのかといわれるとまだ自信がない。なお「一番」というのは「抽出の役割を全うできるか」という意味であり「評価されるか」はまた別である。

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カテゴリー:データ整備