データ分析とインテリジェンス

「意思決定のために必要な情報」とは「特定の意思決定のために洞察して得られた予測や推論」である

「意思決定のために必要な情報」が持つ特徴

「意思決定のためには情報が必要である」ことに反対する人はおそらくいない。しかし「その情報とは何か」を明確に意識している人は少ないだろう。

意思決定のために必要な情報とは何か。特徴をまとめると、以下の3つになると考えられる。

  • 特定の意思決定のため
  • 洞察して得られた
  • 予測や推論である

汎用的ではなく特定の意思決定のため

おそらく一番重要な他の情報との違いは「特定の」意思決定のためかどうかだ。選択肢もデータも実質的に無限に存在するのに目標も無しに何かの”分析”を始めても望ましいところにたどり着けるわけもない。

一方で汎用的な情報とは業界ニュース、様々な研究結果、全国の天気予報などが挙げられる。知識を増やしておくことでいつか別の問いに答えるのに役立つかもしれない。しかし、その時に解決しようとしている課題に対しては無力であり単なる雑学にしかならない。

解決したいことが決まっていないとツールで用意されている指標をいじくるだけになることも多い。出てきた数字についてあれこれ議論はできるが行動に繋がることは少ない。

何を知りたいのか明確にしないでデータに手を付けるのは「おいしいものを作ろう」として手元の食材をどうしようか考えるのに似ている。好き嫌い・アレルギー・お腹の好き具合・予算・時間の余裕を一切考えずにアジがあったからとりあえずたたきを作ってから「ステーキが食べたい」と考えても手遅れだ。

日常の食事なら作ったものを食べるだけでも問題にならない。しかし、人生の重要な意思決定で同じことをしたら大変なことになる。

収集するだけでなく洞察も加える

物事への理解もせず事実や観測を集めるだけでは意思決定はできない。集めたデータそのままに行動や施策に反映するならば意思決定も必要ない。

収集した情報から洞察を行うためには、その間に処理もしなければならない。処理とは集計や手法を適用することだ。この処理だけを指して”分析”と呼ばれることもある。ニュースやログをたくさん集めても役に立たないのはそれが処理で終わり事実の羅列に留まっているからだ。

過去や現在どうかだけでなく将来何が起きるかを予測する

意思決定とは要するに「次にどうするか」を決めることである。なので意思決定をするためには「今どうなのか」だけでは足りない。「なぜそうなったか」の推論や「次にどうなるか」の予測が必要だ。

ダッシュボードでの可視化の多くが意思決定に使えないのは過去と現在の数値だけを見ているからだ。意思決定のためには洞察して予測や推論が加わらなければならない。

食べられる物を集めるだけではほとんどの場合食べたい物にはならない。洞察して予測や推論をするのは、料理に合わせて食材を選び、調理して初めて食べたい物になるのと同じだ。

「意思決定のために必要な情報」を「インテリジェンス」と呼ぶ

前述のような特徴を持つ「情報」を何と呼ぶのが良いだろう。「情報」のままでは他と区別がつかないし、「データ」とは明らかに違う。そのままだと長いしくどい。

そこでこのサイトにおいては「情報のうち、特定の意思決定のために洞察して得られた予測」を「インテリジェンス」と呼ぶことにする。

「インテリジェンス」を指す言葉の定義は人によって違うし、「意思決定のために必要な情報」をインテリジェンスと呼ばないこともあるだろう。それでも言っていることは大きくは変わらないはずだ。

何と呼ぶかは重要ではない。現在のところインテリジェンスが一番おさまりがよさそうなので使うだけだ。そのうち別の言葉に置き換わるかもしれないその時は乗り換える。

なぜ「インテリジェンス」か

インテリジェンスには出所がある。アメリカで最も読まれている(という触れ込みの)インテリジェンスのテキストである『インテリジェンス 機密から政策へ』から引用してみる。

インテリジェンスとは、政策決定者の需要(ニーズ)として明確にされたものまたはそのような需要と理解されたものに合致するインフォメーションであり、当該需要に応えるため、収集され、処理され、絞り込まれたインフォメーションである。

『インテリジェンス 機密から政策へ』 P2

日本語に当てはまる言葉が無かったのでここから「意思決定のために必要な情報」を指す言葉として「インテリジェンス」が使えそうと考えた。

厳密に言ったら違うのかもしれないが、当面はこれで問題ないだろうと考えている。

情報やデータの定義も必要

ここまで「情報」を断りなく使ってきた。またよく使われる「データ」も使うことを避けてきた。

なぜならばインテリジェンスとデータには明確に違いがあるからだ。なので使う前にきちんと説明が必要になる。この違いを区別していないとデータを活用する時にデータをとにかく集めたらなんとかなる、と勘違いする。

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